武甲山
- ぶこうざん -
(2004年2月)

【秩父市街と武甲山(秩父ミューズパーク展望台より望む)】
武甲山は、秩父市街近くにそびえる標高1304mの低山です。(三角点の標高は1295.4m)

不名誉ながら、石灰採掘による激しい自然破壊の姿で有名でもありますが。

かつては標高1336mだった山頂は北面から削りとられ、永遠に消えてしましました。

言い伝えではヤマトタケルが、山容の素晴らしさを讃えて山頂に手甲を奉じたため「武甲山」と呼ばれたとか。

秩父盆地では非常に古くから知られ、多くの伝説のある山で、今も地元で親しまれています。

既出の小持山山頂からの続きです。

※小持山頂上までは、既出の小持山のページをご参照下さい

静かな小持山の山頂を後にすると、武甲山との鞍部に向かって道は大きく下って行きます。

武甲山南面の穏やかな山容を眺めながら、坂を降りて行きます。
下り始めてすぐに、浦山の武士平への分岐があります。

道標も新しく、そちらへ向かうのであれば迷うことはないでしょう。
下り坂は日陰側になるため、雪がなかなか解けないようです。

雪は問題ないのですが、一度解けかけて凍ったツルツルの氷が問題です。

雪や落ち葉にカモフラージュされていて、ついつい踏み込んでしまうと転倒は必至。

要注意です。
急降下が収まると、急に道がなだらかになります。

ここは雪が溜まりやすい地形のようで、大雪の時は難儀かもしれません。
やがて小持山からの下りが終わり、武甲山への直登へと続く鞍部が見えてきます。

「シラジクボ」と呼ばれる場所です。

クボは「窪地」のような意味でしょうか。

ここを右に分岐すれば横瀬側に、左に分岐すれば浦山側に降りることができます。

そして正面には、200mの標高差がある武甲山山頂への道が、全容をあらわにしています。
シラジクボにある新しい道標。

詳細にルート案内が表示されています。

が、浦山方面への案内はなぜかありません。
こちらは古い道標。

傍らの道を降りていくと持山寺跡や、横瀬の登山口へ出られます。

大持山・小持山でバテた人は、ここで下山可能。

都合の良いエスケープルートです。
いよいよ最後の登り。

急坂ですが、道はまっすぐだし見通しも良く、さほど苦になりません。

ただ日当たりがやたら良いので2月というのに暑いこと・・・・

真夏は地獄になることでしょう。
ススキの揺れる坂を登りつめると、「武甲山」の道標に着きます。

ここから浦山側へ下ったり(裏参道)、横瀬側(表参道)に下ったりする案内も記されています。

そして武甲山の名物、発破についての注意書きが大きく掲げられていました。

山頂に着くと大きな神社があります。「御岳神社」と看板があります。

この社が最大ですが、古い歴史を持つ山らしく、他にもいくつかの祠や社が周囲に点在しています。
神社の狛犬。やはり、犬ではなく狼(秩父犬)の形をしています。
山頂周辺は、南になだらかに下りながら広く、いくつかの建物があります。

写真は非難小屋(上)と真新しいトイレ(下)。



このトイレは優れもので、電力は太陽電池、雨水を利用した水洗式、バクテリアを利用した汚泥の出ない浄化槽を備えています。

が、冬期(12/1〜3/31)は閉鎖されていて、中の様子は確認できませんでした・・・

他にもあたりにはもうひとつトイレがありました。

じつに至れり尽くせりの山頂です。
御岳神社の裏には、展望台が2箇所整備されています。

この写真は第1展望台の方。

ここまで来ると自然破壊の爪痕がはっきり見えてしまうので、あえて来ないという人もいるそうです。

が、なかなか来られる所でもないですから・・・

鉄柵の直下には武甲山北壁の採掘現場があり、巨大なダンプが動いていました。
山頂ごとスッパリと削り取られてしまった結果、眺望は抜群です。

秩父市街が箱庭のように一望でき、無数の丘陵が周辺を囲んでいる様子が明らかです。

日本でも有数の弱風地帯といわれる秩父盆地は、これらの山々に守られているのでしょう。

台風が直撃しても、滅多に大きな被害にはならないようです。

もちろん、足下の武甲山が、最も大きな秩父の守護者に違いありません。
山頂の休憩所で一休みした後、表参道を下り始めました。

延々と階段や杉林の中を下っていくと、「途中に大杉の広場」という標識があります。

周囲には杉林の中でも一際巨大な杉の木が2〜3本立っています。

苔むした樹皮が、歳月を物語っているようです。
やがて水音が聞こえてくると、ふもとは間近です。

10m位の滝を経て、沢の流れに沿って下っていくと、道はやがてコンクリの舗装路になります。

マス釣堀の施設を過ぎれば、武甲山表参道登山口の鳥居に着きます。

そこから妻坂峠登山口までは、歩いてわずかな距離です。

妻坂峠・大持山・小持山・武甲山と続いた縦走ルートはこれで終了です。

比較的危険箇所も少なく、携帯が通じるエリアも多くて色々な気象条件での登山を試すには最適の場所でしょう。

※ただし、持山寺跡から子持・大持山の山腹を巻いて妻坂峠の少し上の尾根道に出る「持山寺跡コース」は非常に危険です